神経科2

「仕事を見つけましょう」と就労指導しなければならないケースワーカー。それと、仕事を探さねばならない保護保護対象者。不況下で仕事がなければ、お互い気まずい雰囲気になると前回述べました。そこに救世主として現れるのが精神科医。
「まいど!生活保護なら誰でも連れておいでぇ~。精神病の診断書書いたるでぇ~。精神安定剤でもなんでも、薬いっぱい処方したるでぇ。らっしゃい、らっしゃい!」
医者にとっても、生活保護は上客です。あちこちの病院で、滞納治療費をどう回収するかが問題になる中、生活保護なら取りっぱぐれはありません。役所が直接病院に振り込んでくれます。
「医は算術」と考える医者がいたならば、継続的に通ってくれる固定客を望むことでしょう。沢山薬を処方すればするほど、保険点数も稼げ、お金も舞い込んで来ます。
なかなか仕事が見つからず、ケースワーカーからプレッシャーがかかる保護対象者も、一旦病気と認定されれば、文句は言われません。中にはもらった薬をヤフオクで売って副収入にしている輩(やから)も過去にいました。
ケースワーカーにしても、いくら「仕事を見つけろ」と言っても埒があかない場合は、投げ出したくなります。「一度精神科にかかってみて下さい。」と勧めてみて、病気認定されればめっけもの。埒があかない就労指導から解放されます。
もしここで、患者を紹介したケースワーカーが医者からキックバックをもらえば、悪の枢軸トライアングル決定!
ここに我らがヒーロー橋下総統閣下は切り込んだ!
な~んていう風に正義の味方が悪をやっつけるのは、昔のヒーローアニメか水戸黄門くらい?
そこまで酷い話は聞いたことはないです。実際にあったのは、もらった薬をヤフオクで売った保護対象者くらいまで(私が知る限り)。この三者の中で、ケースワーカーは一番あずかる利害が薄いです。単に上司から「ちゃんと就労指導してるか」という問いに、「病気ですから」。そう回答できれば、やるべき仕事はやってます、という体裁が整うというだけ。
以上、生活保護トライアングルを意図的に黒く描いてみました。皆さん闇の中の探索がお好きなんじゃあないかと。。ここから少し白くなります。トンネルを抜けるとそこは灰色でした。
私の知っている生活保護の人で、2年間で20回仕事を辞めた人がいます。人付き合いがうまくできないんです。でも「生活保護でメシを食っているのは悪い」と言って、結構すぐに次の仕事を見つけてきます。
今年の初めも、掃除の仕事を見つけてきました。「掃除なら人と接しないから大丈夫だろう」と思っていたら、2日くらいで辞めてしまいました。
21回仕事を辞めた後、私が昔つとめていた社長からビラ配りの話が来ました。何でも知り合いのチラシ配布会社が苦しいそうで、余りお金は出せないけど誰でも良いから手伝いが欲しいとのこと。私に生活保護の知り合いが多いのを知っているからです。日給何と4000円。給与レベルからしてハードルは低いはずでした。
「チラシなら撒けます、頑張ります。」
今度は大丈夫だろう。と、思いきや、一日でクビになったと連絡が来ました。何でもチラシ投函禁止の所に入れて、苦情が来たらしいです。これで22回。ついに長嶋(8本)を超えた田淵の記録(22本)に並んでしまいました。
ここまで来ると本人も、「もう自分は脳の病気じゃないか」と言いだします。ケースワーカーも、「一度病院で検査してもらって下さい」となっています。本人はウソをつく性格でもないし、至極真面目です(でなければ22回も仕事応募しません)。
紙面の都合で余り書けませんが、彼より実務能力が低く、神経科に通っている人も知っています。「なかなか仕事がないんです」と言いながら、たまに単発バイトで小遣い稼ぎしている人も知っています。これは額によっては不正受給になりますが、こちらでも把握しきれません。
次に高橋由伸(23本)に並ぶか、という彼の話を出したのは、真面目にやっても中々うまく行かない人で精神科を勧められる人もいれば、ヤフオクで薬を売る人まで、色々いるということです。真面目で真っ白な人から、ずる賢くて真っ黒な人まで、連続的に分布しています。その中間の灰色のどこで線引きをするかは、極めて難しいことになります。
(つづく)
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