精神史2
大田氏の「死」についての見解は、当方には斬新で目から鱗だった。それを説明する前に、死の取り扱い問題がどのように扱いづらいかを述べる。以下に述べることも証明不能と言われてしまえばそれだけであるが、一応ね…。
「死」と「あの世」の問題の一つは、ある観念ができあがるとそれに応じて世界ができてしまう、という点にある。立花隆氏が「臨死体験」で述べている内容だが、臨死状態でその人が信じている対象が登場するというパターンがある。例えばキリスト教を信じている人にはイエスが現れるとか、イスラム教の人はイスラムの神や教祖が登場する、など。臨死体験も正確に言えば「死」ではない、と言えばそれまでだが。
自分自身の思念や心の働きが世界を創り出す。これは「死」と「あの世」の問題が、心の本質に関わる問題だからである。全ての世界・全ての事象は、心で認識する。(映画の)マトリックスのような世界。すると自分で創り出した世界像に縛られることにもなる。
典型的な例は、「ある神を信じれば天国に行ける」。これは「その神を信じなければ、天国には行けない」「信じなければ地獄」という相対概念とセットになり信者らを呪縛する。現実にアレフからの脱会に踏み切れない信者には、「グルを裏切れば無間地獄に墜ちる」という恐怖に縛られているものもいる。生きている内からその世界に縛られてしまうのだ。
仮に「死んだあとあの世がある」という教えがあるとします。するとそこから「死んだ後のこともあるから、デタラメに生きたらいけないよ」となる。この程度ならまだよし。しかし実際にはここに留まらない。
「死んだ後いい世界に行けるように、功徳を積みましょう、お布施をしましょう」「お布施をしないといい世界に行けないよ」「布施をしないと地獄に墜ちる」大体がこうなります。そうなるともはや、死んだ後の世界を盾にとった「脅しの宗教」になってしまいます。こうなると、人を救うはずの宗教が、人を苦しめるものになってしまいます。統一教会の霊感商法のようなものです。
これはどういう宗教であれ、長く続けば続くほど、熱心な信者がいればいるほど、そうなってきます。篤い信仰心が正当化され権威を帯びるようになるからです。そうすると信心のない者達は貶められます。
先の記事で書いたルターの宗教改革になった契機もこれでした。ご存じの通り、ローマ教会による免罪符販売です。「お金を払えば救われる」。中世版霊感商法ですな。
ということで「信じれば天国」もダメ、「あの世がある」もダメ。「あの世がない」と断定する宗教について、私は良く知りません。しかし「あの世がない」と断定すれば、「なら生きている内に好き放題やろう」「ばれなければ何やってもいい」「死ねば灰、苦労・努力なんかばからしい」というトンデモ宗教になるでしょうね、きっと。
すると選択肢としては「あの世は、『ある』でもない、『ない』でもない」くらいしかなくなります。実はお釈迦様もこの見解ですね。あの世の質問に対して、「そういうことを聞いてはいけない」とノーコメント。
結局、全ては心に映し出された幻影であり、死とあの世の問題も「空」と同じ次元の問題になります。「空」は主客合一の世界です。客体視することはできません。よって「空」と客体化することも、「主客合一の世界」ということも、本当は正確ではないのですが、便宜的に仕方なくその言葉で説明しています。
科学万能主義に侵された現代人は、客観的にとらえることができる事実しか信じない傾向があります。それによって「空」は勿論のこと、「死」と「あの世」の問題も考えなくなってしまいました。しかし科学がいくら発展しようとも、どうやっても客体視できないことは存在するのです。
例えば量子・素粒子の世界がそれです。素粒子は波のような性質があり、正確にとらえきれない、位置と速度を同時に確定できない。位置と速度のどちらかを測定しようとすると、測定そのものが対象に干渉する結果を招きます。位置を特定する為に別の素粒子をぶつけたりするのですが、ぶつかって位置が分かった瞬間、はじき飛ばされて速度は分からなくなります。
素粒子の観測そのものが対象を変えてしまうように、死とあの世について認識すること自体も、対象を(作り)変えてしまうわけです。
で、目から鱗の大田氏の見解は… (つづく)
コメント
死んでも意識は連続すると思います。
だからこの世で天国の人は死んでも天国で
この世で地獄の人は死んでも地獄だと思います。
だからグルがどうとかこの神様を信じれば天国とか地獄とかは
関係ないのではないかと思います。
ブログで面白いものを発見しました。
私はとても共感できます。
http://blog.goo.ne.jp/namagusabose
6月28日は松本サリン
でしょ?
もし名古屋のHさんだとしたら見当違いですよ
彼は科学と宗教の話はできませんよ
教団に入っていなかったらできたかもですが。
>ブログで面白いものを発見しました。
人間とは少し異なる魂と
コンタクトをとった人のブログかもしれない
現代科学と宗教の話ができるのは野田さんと堀さんぐらいのもんだから
どんどんやってほしいね