特別売却
景気回復なのか、競売市場も活況を取り戻してきた。
競売手続きでは、まず1週間ほどの入札期間で買値の札を入れる期間入札と、そこで売れ残ったものを、一定期間落札者が現れるのを待つ特別売却に分かれる。最近は、売れ残りが少ない。期間入札でほとんど消えてしまう。特別売却に残るのは、本当に煮ても焼いても食えないカスが数個だけ……。
元々競売による事業で賠償を進めようというのは、2000年頃既に管財人にも提案していたこと。その頃はまだ余り参入者も少なく、期間入札での売れ残りの中に、利回り40%超のが転がっていたりとか。利回りというと分かりにくいかもしれないが、要するに銀行の利子○%と同じと考えてもらえばいい。利回り40%なら2年半で資産が倍になると思っていただければよい(実際には不動産が減価償却分目減りするので倍ではない)。当初、なぜ誰も手をつけないのか、不思議でしょうがなかった。落札後、どうして手をつけないのかが分かった。
最近ではそういうのがあっても20%台。勿論、これも入札してタダで20%台なのではなく、それなりに手間をかけなければならない。競売の場合、落札するまで内見ができないので、フタを開けるまで分からないリスクもある。しかしある程度、ノウハウが分かってしまうと、それなりに何とかなる。近年は、どういうビジネスでも、競争が激しく状況の変化が激しい。それでも不動産業界は、比較的変化が緩やかなので、最低でも後10年は行けるだろうと。
緩やかではあっても、ここ10年の間にも相当な変化はあった。民事執行法が何度も改正されて、前の所有者・占有者立ち退きに関する手続きは簡略化しスピードアップしている。当方にとっては、いい面悪い面両方だが…。
特別売却も、昔は物件ごとに先着順だった(ように記憶している)。だから期間入札終了後の特別売却開始時点で、一番手で札を入れれば、最低売却価格で買うことができた。ところが最近は、物件ごとに競合がいるのかいないのかを教えてくれない。10件売れ残りがあるところに、20人入札者が来たとする。お互いがお互いに対して、「自分の狙っている物件で競争相手がいるのではないか?」と警戒する。その結果、入札価格は最低売却価格より上がることが多い。こないだ見たのは、最低売却価格800万に対して、特別売却での落札が1200万。それだったら期間入札で入れておけばよかったね、という話なのだが、誰も未来が分かれば苦労はしない。
この辺は、裁判所もよく工夫した結果といえるだろう。できるだけ多くの金額を債権者に回収させることにはなっている。小生も先日、5万円程も「お布施」させられてしまった。勿論誰も競合相手はいなかった。。
特別売却が入札順だった頃、お金を騙し取られそうになったことがある。地下鉄サリン事件直前のいわゆる「リムジン謀議」の舞台(というかその前の話)になった東京杉並区高円寺の「識華」入居のビルが特別売却になったのだ。その時、賃借権でちょっとお世話になったいかがわしい人物に、共同事業として入札予納金の出資を求められた。残額はその人物が出すから、予納金を先に出してくれという。名義はそのいかがわしい人物にするという話で。
そうなった経緯は、当時オウムの不動産担当の男が、その人物の妻を「脅して泣かせた」ということで、逆に「俺と手を組まないなら、妻を脅迫したかどで刑事告訴する」と脅されたから。98年初め頃だったから、公安当局が喜んで飛びつきかねない話だった。それで、特別売却初日に最低売却価格5千数百万の予納金1千万ちょっとを、東京地裁に持参した。
しかし幸運な事に、数分の差で先着入札があり、落札できなかった。あの時入札していたら、結局残代金も出せという話になって、知らない間に転売されていた可能性がある。後で、この夫婦は大変な役者だったということが分かた。妻が泣いたのも「脅した」とこちらを脅すためのお芝居だった可能性が高い。そう結論付けて無視することにした。結局その後何もなかった。
当時ウチが落札することはできなかっただろうが、識華ビル5000万は確かに安かったかも。
のださんなら話のネタは尽きないのかもしれませんが、あまり突っ込んで話すとヤバイんでしょうか。
グレーゾーンのリスクというより、裏のエージェントが口封じで出動するから…
今は昔となった今は関係ない?
金融道から引退し足を洗って、山奥の田舎で自給自足の生活をする爺さまも、どの世界、価値観に染まるかで幸せの定義も変わると言ってましたよ。