ホームレスの食生活

　ホームレスとは言っても、結構いいものを食べている人もいる。

　最初、仕事の付き合いある韓国食品卸しのところから、賞味期限切れ食品を沢山もらって配っていた。昨年来の金融危機で、韓国ウォンが暴落、円が暴騰（最近は収まった）したため、安く大量仕入れしたらしい。しかし大量すぎて賞味期限切れも出たという事情なのだ。

　冷麺とか海苔を大量にもらって、ホームレスに最初配りながら話しかけていた。ところが、あるホームレスは、

「なんだ、賞味期限切れかよ…」

「え。。。」

　よく見ると、そのホームレスの傍らには、その当日賞味期限が切れるギリギリセーフ（アウト？）の食品がコンビニ袋にテンコ盛り。

「俺よりいいもの食ってる…」

　私の基本的食生活は、ご飯にすりゴマ、それに韓国食品卸しから大量にもらった海苔。それに朝昼、紅茶とコーヒー、スナック菓子というパターンが多い。ご飯に納豆をつけるとちょっと豪華になり、更にＢＩＧ Ａの５個１９８円ラーメンをつけて贅沢にすることもある。ここを覗いている元団体関係者なら、大体似たようなものかと勝手に想像するが、ホームレスにはそれより贅沢な食生活の人もいる。そういう人には、住まいがある生活保護の最低生活を勧めても、「今のままでいい」となる。

　例えば、大宮駅東口には、ダンボールハウス在住の高齢女性ホームレスがいる。彼女にも二回ほど声をかけた、が、「今のままでいい」とのこと。通りがかりによく観察するが、食事をしている場面にも出くわす。数日前は、幕の内弁当を食べていた。その前はマックのハンバーガ。恐らく誰かが買い与えるか、廃棄処分をしないで分け与えているか。そこそこの食生活ができるが故に、現状でいい、となるのか。

　俺、幕の内弁当なんて、ここ数年食ったことがないぞ。とはいえ、とある付き合いの関係で、結構贅沢な食事をしてしまうこともあるのだが。。

　仕事をしてみて思うのは、付き合いで食事その他をすると、本当に馬鹿みたいに金がかかる。というか金をかける。自分が賓客でおごってもらうならいいわけだが、お互いの付き合いで、なんとなく「それなりの食事」「それなりの遊び」をしよう、という状況は苦痛でしようがない。というか、「質素倹約・足るを知る」と掲げている以上、いや、それがなくても同じ空の下で、一日ビスケット数枚ですごさなければならない人たちのことを考えると、後ろめたくなる。だから最近は一応、おごってもらう時には、「持ち帰りのピザをホームレスにあげてもいいか？」と相手に聞くようになった。

　ピザが暖かいうちに持っていってあげて、相手が食べるのを見ると、こちらも嬉しくなる。そんなこんなでそのまま避難所に入ってもらうことになった人がいる。しかも彼は、生活保護を受けたかったのだが、役所に何度も追い返されていたという。よって、丁度そのニーズに応える事ができた。

　しかし前述のとおり、私から見て「グルメ」なホームレスには、対応できない。

「炊き出しあるけど、まずいんだ、あれは。」

　こう言われると、もうアウト。すりゴマ・海苔ご飯の私には、大体どこの炊き出しメニューも「うまい」。食生活については、俺の方が最低生活か？よって私より食生活レベルが低い人にしか対応できていないわけだが。

　先日も賞味期限切れ食品を手に入れた。小豆ゼリー。

「うげっっっっ、賞味期限１年前！！」

　しかし、食べてみると

「なんだ、まだいける」

　一応、ホームレスにあげるにしても、事前にちゃんと毒味をする。自分が食べられないものをあげるようなことはしない。ピザ→避難所入りのおじさんにあげた。

「賞味期限一年前だけど、さっき食べたらまだいけますよ。食べますか？」

「あー、大丈夫だよ、食べる食べる。」

　あー、よかった。

　私の荷物には、団体時に配布されたサバイバル食品がある。ポテト食とかなんとかそんな感じのやつ。内輪ネタだが、森達也監督の「Ａ２」にも出てきたようなやつだ。どんな内容だったかというと、森監督が、箱に入っている物が何か、とサマナに質問する。サマナが、「保存食です、おいしいですよ。」と実際に食べてみるのだ。「うまい、うまい」と舌鼓を打つサマナにつられて、森監督も口にする。が、森監督は、「とても食べられたものではない」的な反応をする（とか何とかそんな内容）。私自身も、食生活レベルが多少上がってしまったせいか、余りおいしくない。これはいつ日の目をみるだろうか。