裏24
一階の屋起こし調整がうまく行かないのは、玄関ドアが設置される現場カット部分を先に切ってしまったからかもしれない(アンカー穴開けガバガバのせいもあろうが…)。
(後から切るより、はめる前に切った方が楽だろう…)
と全く素人考えで先に切ってしまったが、カネ(直角)を出すには切らない方が当然よかったんだろう。後で気づいた、オレのバカ…
後悔先に立たず。それはしょうがないとして、山本さんがまた不安げな表情…。
山本「ちょっとペースがやばいよ、間に合わないかもしれない…」
小生「今日終わらないってことですか?」
山本「う~ん…」
一階屋起こしの調整が終わったのが正午前。しかしペースが遅いという。クレーンが来ている上棟日に終わらなければ、どうなるのか?考えたくない事態が起きそうなので、目の前の作業を急ぐしかない。
二階と小屋組みの作業に移るには、二階の荒床を引かねば、作業員の足場がない。だが二階荒床を引く前には、屋起こし調整した一階の柱と横架材(梁など)をつなぐ金物のボルトをキッチリ締めておく必要がある。昼食休憩をとる作業員をよそに、小生一人でバッテリードライバーで締めていく。
作業員が戻ってくるまでに全ての金物を締め終えなければならないが、昼休み一時間あれば、なんとかなるだろう
…が、突然インパクトドライバーに差していたソケットが折れる!
(画像はイメージです)
(ヤバッ!ただでさえ遅れてるのに間に合わなくなる!!)
慌てて近くのホームセンターに買いに行く。幸いなことにこの現場から徒歩3分程にホームセンターがあるのだ。自宅裏の売地にしろ、このホームセンター立地にしろ、なにか小生にDIYでアパートを建てろという示唆にも思えていたが、まあ簡単には建てさせてもらえないねぇ…。
(すぐに新しいのを買ってきた)
後日ネットで調べると、18Vインパクトでソケットが折れるのは、よくあるらしい。それに対応した耐久性5倍の製品を買って続きの作業。昼休み目一杯かかった…。
作業員が戻ってきて作業再開。二階荒床を全員で引いて柱を建て、一階と同じ手順で横架材等を組み上げていく。
一階屋起こし作業を真似て、二階の屋起こしをやらせてもらう。すると、山田建設・高田さんが口出し。
「それじゃ角度が悪いからダメだよ!」
屋起こしを入れる角度が悪いというのだ。もう少し寝かせた角度にしないと、歪みを修正するのに力が加わらない、と言いたいらしい。それは確かにそうだ。
高田さんはそれを指摘しつつ、仮筋の木材の一端を横架材に止めていく。もう反対の端っこは、屋起こしと風防下げ振りで調整して、すぐに止められるように、という配慮。この手際良さを見て内心小生は考えた。
(そこまで手順分かってるんなら、大工なしで高田さんがやってくれてもいいじゃん!)
尤も、彼にしてみても、彼なりのプロ意識・矜持があるから、大工仕事は大工に任せるべきだと考えているのだろう。だが、既に何度も現場で顔を合わせて顔見知りになった小生には口出しするものの、上棟でたまたま顔を合わせた大工には指摘をしていない。
というのは、前回のアパート建築で、上棟作業を別の大工にやってもらった。しかしその際には、屋起こしも風防振り下げも使わず、単なる振り下げだけで柱の垂直を確認しただけである(よって小生が屋起こし道具の存在を知ったのは、その後近くの建築現場大工にたまたま話しかけて雑談で教えてもらった時なのである)。
屋起こし・風防下げ振りの垂直調整もなく、挙句の果てには小屋裏組み立てて、最後に木材組み合わせが合わない部材が出てくる始末。
「これは、プレカットが間違ってる」
そう断言して現場を去っていった。だが、実際には違う部材を違うところに嵌め込んだがゆえに合わなかっただけと判明。その後始末は、プレカットの担当会社。既に組み上げて外すことも出来なくなった躯体に合わせて、現場で木材を加工し、なんとか事なきを得たが…。
そういうトラブルがあったのが前回の現場。そこに高田さんも居合わせたが、一言も口出しすることはなかった。大工がいるなら、大工の責任。そう考えているのかもしれない。大工がいなければ、自分に責任が…。それは避けたいと考えても不思議ではない。ちなみに山田建設は、過去に新築戸建て建築にも手を出していたが撤退している。
毛が生えた素人程度の小生が、テキトーに進める建築作業。それを教える大工がテキトーだと、テキトーの二乗でシッチャカメッチャカになりかねない。次からはその大工には頼めないな、と考えた次第。
それはさておき、クレーンが来ている間に上棟まで終わらそうと、全員休みなしで夕方まで作業継続(通常建築作業は昼休み以外に10時と15時に休憩をとる)。屋根のてっぺんにある棟木をあげるまでが上棟だが、果たして間に合うか…
…
…
…
…
ん~まあ大体皆さんの予想通り、なんとかなりました。
冬場の早い夕暮れになんとか間に合いました。
やればなんとかなるもんです。
ただ高田さんの言う通り、大工呼んでおいてよかったです。
技術もなんもないウチの入居者が何人束になろうとも、うろたえるだけの烏合の衆だったでしょう。
土台敷きからガチャガチャだったかもしれませんが、なんとか建物は建ちました。
いや~、疲れました。。。。
小生が、高田さん他に上棟祝いの祝儀を配って終了。
祝儀は施主が配るのが通例とはいえ、疲れ果てた小生がやるのもなんか変だなぁ…とおもいつつ…
(つづく)
徒然草第52段
仁和寺(にんなじ)にある法師、年寄るまで、石淸水を拝まざりければ、心うく覚えて、ある時思ひ立ちて、たゞひとり、徒歩(かち)よりまうでけり。極樂寺・高良などを拝みて、かばかりと心得て帰りにけり。さて、かたへの人にあひて、「年比(としごろ)思ひつること、果たし侍(はべ)りぬ。聞きしにも過ぎて、尊くこそおはしけれ。そも、参りたる人ごとに山へ登りしは、何事かありけん、ゆかしかりしかど、神へ参るこそ本意なれと思ひて、山までは見ず」と言ひける。
すこしのことにも、先達はあらまほしき事なり。
(口語訳)
仁和寺にいた、ある法師が、年をとるまで石清水八幡宮をお参りしたことがないことを情けなく思い、ある時思い立ち、一人、徒歩でお参りにいった。(山麓の)極楽寺と高良神社をお参りし、(八幡宮へのお参りは)これだけだと思い込み帰路の途についた。
帰った後、傍輩に向って、「ずっと(心に)思っていたこと(八幡宮へのお参り)を果たせた。聞いていた以上に尊さ(八幡大神の御神威)を感じた。ところで、他の参詣者が皆、山へ登っていったが、何か山上にあるのだろうか。行ってみたいとは思ったが、お参りすることが本義であるからと思い、山上までは見に行かなかった。」と言った。
小さなことにも、案内者(指導者)は欲しいものである。
http://www.iwashimizu.or.jp/story/kj.php?seq=17&category=1
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