サピエンス全史1
世界的名著となった「サピエンス全史」を遅ればせながら読了。斬新な視点から人類史を見直した著者のユヴァル・ノア・ハラリ氏は、非常に頭が良い。思考の柔軟性を培う上でも、大変有益な内容。
思考の柔軟性を培うには、日常の「当たり前」や「常識」を問い直す必要があり、私達にとって当たり前すぎて気づかない観念の囚われを外すことと同値である。観念の創造・維持・破壊は、大乗以上の仏道修行者にとって極めて重要な修行課題であり、そういう意味で本書の内容は参考になるので、考察含めた記事を書く。内容を手っ取り早く知りたい方は、まとめサイトがあるので、そちらを参照されたし。
まずカバー裏表紙には以下のようにある。
----------------
アフリカでほそぼそと暮らしていたホモ・サピエンスが、食物連鎖の頂点に立ち、文明を築いたのはなぜか。その答えを解く鍵は「虚構」にある。我々が当たり前のように信じている国家や国民、企業や法律、さらには人権や平等といった考えまでもが虚構であり、虚構こそが見知らぬ人同士が協力することを可能にしたのだ。
----------------
伝説・神話・宗教にとどまらず、企業・法の秩序・社会制度・人権など、現代人にとって当たり前の事柄も虚構とする。この虚構の成立過程を分析したのが本書である。
人間の歴史に大きく3つの革命があったとする。それは①「認知革命」②「農業革命」③「科学革命」。
まず「認知革命」とは何か?人類は、複雑な言語によって客観的現実のみならず架空の世界を表現可能になった。これにより見知らぬもの同士の協力が可能になったという。
簡単な言語で単純な意思疎通なら、サル山のサル達だってやっている。鳴き声の高低によって感情表現をし、サル山のボス争いをし、数十匹のサルを率いる。しかしこのようなコミュニケーションでは、150匹(人)位までが限界。それ以上の集団規模で協力を可能にしたのが、虚構(伝説、神話、宗教、イデオロギー…etc)。
その虚構の中でも特筆すべきなのが、貨幣(経済的秩序)、帝国(政治的秩序)、宗教(超人間的秩序)の三つ。この中でも貨幣は、70億の人類を束ねるに十分な理念である。
この共同主観的な虚構による協業は、あくまで人間の、人間による、人間のためのものである。それ以外の生態系の種、あるいは地球環境そのものについては、ほとんど考えていない。地球温暖化や薬剤耐性菌の出現などは、地球環境・生態系からの影の反逆とも言えるが、コロナウイルスもそれに属するとする識者もいる。
世界的に有名な英出身の霊長類学者、ジェーン・グドール(Jane Goodall)博士(86)は、新型コロナウイルスのパンデミックは人類が自然を無視し、動物を軽視したことに原因があると指摘している。
「人類が自然を無視し、地球を共有すべき動物たちを軽視した結果、パンデミックが発生した」
小生は現代文明が数十年の内に崩壊するという終末論者である。これまで人類の協業が可能だったからと言って、これからも可能かどうかなどという事は一概には言えない。尤も多くの人にとっては、「これからも可能」という事が暗黙の了解であったろう。しかしながらウイルス一つでこれだけ日常が変わってしまった事実を取ってみても、現代人の豊かな日常がもろく壊れやすい、無常なるものであることは容易に理解できよう。
拙ブログでも主張して来た通り、小生は貨幣による経済的秩序が崩壊すると考える。その切っ掛けは国債バブル崩壊である。日本人の大多数は、政府の借金が積み上がることを気にしていない。多少その知識がある人でも、ほとんどは「国債の9割以上を日本人が所有しているから問題ない」とする。
小生には、100年後、1000年後、1万年後もずっと「経済成長!金融緩和!」とやっている未来図を頭に描く事ができない。よってそろそろ終わるでしょう、と言い続けるわけだが。
仮に終わらなくとも、困窮者支援事業はコロナ禍でもほとんど影響を受けないんで、どっちでもいいんだけど…。
(つづく)
管理人のみ閲覧できます
心を静止させて(止・サマタ)、現象をありのままに観る(観・ヴィパッサナー)
1976年、イスラエルのキリヤット・アタで生まれた。その後ハイファにてレバノンと東ヨーロッパをルーツに持つユダヤ人家庭で育った。
2002年に、現在彼の夫であるイツィク・ヤハフ(Itzik Yahav)に出会い、彼はヤハフのことを「私の『すべてのモノのインターネット』(my internet of all things)と語っている」。ヤハフは個人的なマネージャーでもある。カナダのトロントで結婚し 、その後イスラエルにほど近い地のモシャブ(農業共同体の一種)で生活している。
2000年、オックスフォード在住中にヴィパッサナー瞑想を開始し、それが「人生を変えた」と語っている。
著書『ホモ・デウス』では献辞として「S・N・ゴエンカに捧げる」とされている。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A6%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%8E%E3%82%A2%E3%83%BB%E3%83%8F%E3%83%A9%E3%83%AA 」
「ユヴァル・ノア・ハラリとは何者か? 人類史の先に見据えるそのヴィジョン:#2「自己の探求」
ビッグヒストリーに未来学や人類の苦難に対する俯瞰的かつ虚無的な世界観をもち込み、世界的ベストセラー『サピエンス全史』を生んだユヴァル・ノア・ハラリ。その半生は自己の探求に満ちていた。集中シリーズ第2回目は、聡明な幼少期からナショナリストだった思春期、同性愛を自覚した先に出合ったヴィッパーサナ瞑想による解放までの日々に光を当てる。
ユヴァル・ノア・ハラリは、特に同性愛者の権利保護においては政府がもっと積極的に関与してもいいだろうとする一方、著書では常に平静でいることの重要性を強調している。『Sapiens: A Brief History of Humankind(サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福 柴田裕之:訳〈河出書房新社〉)』
内の「汝自身を知れ」と題した項でハラリは、瞑想によってたどり着く静穏は
「とてつもなく深く、喜びの感情を必死で追い求めることに人生を費やしている人々には皆目見当もつかない」
と述べる。『21 Lessons for the 21st Century(21 Lessons: 21世紀の人類のための21の思考 柴田裕之:訳〈河出書房新社〉)』ではブッダの生涯に細かく触れ、以下のように記した。
『ブッダの教えによると、宇宙の三つの基本的な現実は、万物は絶えず変化していること、永続する本質を持つものは何一つないこと、完全に満足できるものはないことだという。銀河の彼方まで、あるいは体や心の隅々まで調べたとしても、けっして変わらないものや、永遠の本質を持つもの、完全な満足をもたらしてくれるものには、絶対に出合えない。』
https://wired.jp/membership/2020/05/19/yuval-noah-harari-big-picture2/ 」
「ユヴァル・ノア・ハラリ氏とヴィパッサナー瞑想
世界的ベストセラー『サピエンス全史』と『ホモ・デウス』の著者、
イスラエルのヘブライ大学教授、ユヴァル・ノア・ハラリ (Yuval Noah Harari) 氏
の インタビュー番組、
NHKETV特集「緊急対談 パンデミックが変える世界 」
をご覧になりましたか?
以前『サピエンス全史』を読んだ時に、
過去と未来を見通す、その視座の高さと洞察力の深さに感動し、
この人は、きっと瞑想の達人なのでは、 と思っておりました。
気になって調べてみると、
ハラリ氏はヴィパッサナー瞑想を毎日2時間、
かれこれ20年以上続けており、
年に1度は、インドで60日間沈黙を続ける
ヴィパッサナー瞑想のリトリートを行っているそうで、
妙に納得してしまいました。
NHKの番組の最後に、インタビュアーから
「どうやってこのパンデミックによる恐怖心を克服しているのですか?」
と質問され、
「2つ方法があり、その一つは、毎日2時間ヴィッパサナー瞑想をしていること」
と答えていました。
「こういう危機だからこそ、 毎日少しでも自分の心をいたわることが大切である」と。
昨年11月にリリースされた彼の著書
『21 Lessons:21世紀の人類のための21の思考』でも、
正解の見えない今の時代に、どのように思考し行動すべきかを問う中で、
最終章『ひたすら瞑想せよ』にて、 ヴィパッサナー瞑想の必要性を説いています。
私自身も20年以上前から瞑想をしています。 2度がんを患った時も、
京都のヴィパッサナー瞑想センターで 10日間の瞑想を行いました。
がんと向き合う中で、 自分を常に第三者的な視点で観察できたのは、
そして、不安や恐れに押しつぶされることが無かったのは、
長年続けている瞑想のおかげだったと確信しています。
新型コロナウイルスの影響で、
不安やストレスを感じている方も多いと思います。
StayHome期間は、瞑想に集中できる絶好の機会でもありますね。
https://blog.vogue.co.jp/posts/8185103/ 」
思うんだけどなぁ....
2枚舌の使い分けですよね。
消費増税したいときは財政不安を煽る。
格付け機関がネガティブな評価をすると財政は問題ないと安心させようとする。
コメント