裏8
裏の新築アパート、解体前夜に隣から苦情が入る。連絡を受けた女房によると、「隣の旦那さんは建築関係らしく、解体の時は養生のシートを張り巡らせるなどしなければならない筈」と隣の奥さんが苦情を伝えて来たらしい。近隣からの苦情その他「刺される」事で工事が遅れたりすることは、時に工程管理には致命的となりうる。
帰って隣の家のピンポンを鳴らすと、旦那さんではなく奥さんが出て来た。
「建てるなとは言いませんが、近隣に配慮はして下さい」
隣の奥さんは洗濯物が汚れるのを気にするのか、とにかく養生のシートを張って欲しいと引かなかった。
法的な問題だけに限ると、解体時にシートを張らなければならない法律・条例は存在しない。しかし通常の建築会社の施工マニュアルにはどこでもそうなっているのだろう。自前でやろうとする小生には関係ないと言えば関係ないのだが、隣の苦情を最初から無視して押し切るのも気が引ける。面倒だが仕方がない。というより隣の苦情は後々迄それなりの精神的プレッシャーになる。
無断欠勤の奥山君も気になり、住居に行ってみると、貸出していたタブレットとガラケーが置いたまま。このまま戻らない・失踪するという意思表示にも解釈できた。結果としてこの後も戻ることはなく、奥山君が二抜け(にぬけ)。今回も若手の育成にならないのは仕方ないとして、果たして彼はこの後どうするのか…。またネットで自殺仲間を募って死ぬつもりなのか…(奥山君はリンク先X君)。
翌日、ユンボと廃材運搬用トラックを借りて実質解体作業の開始。だがそれに先立ち、隣家にホコリが行かぬよう、隣家と接する部分だけ単管を建ててブルーシートで囲う。面倒なのでそこだけ。それだけでも一人2時間ほど作業に取られてしまった。
ユンボのオペレーターは、自称「ユンボペーパーですよ」の西田さん。確かに操作がマーちゃんに比べるとぎこちない気がする。
今回解体するのは、前回同様平屋。しかし床面積が前回の5割増し。とは言っても50平米ちょっと。プロから見れば遊びみたいな解体でも、前回一回しかやった事が無く、しかも手慣れたマーちゃんがいない解体は厳しい。
3日で終わった前回は、一日目で建屋が全てバラバラになった。しかし今回は一日目でも半分しか家屋がバラけていない。
う~ん、これで間に合うのか??しかも西田さんは腰痛持ちで、最終日まで持つかどうかも不明。最悪自分がオペレーターやるしかないのか…、と覚悟して一生懸命youtubeを見ていたが。
隣からの苦情に加え、期日通りに終わるかというプレッシャーで、この日は眠りに付けなかった。後から振り返ってもこの夜程ストレスがかかった日はないんじゃないか、というくらい。
眠れないのでダメ元でマーちゃんにラインで聞いてみる。時刻は午前4時過ぎ。
「まーちゃん、おはよう。体調どう?」
「昨日からやってんだけど、オペレータの慣れの問題もあって、ちょっと期日までに終わるか厳しいんだけど、来週1日だけとかでも厳しい?」
すると40分程して反応があった。
「おはようございます……」
(つづく)
コメント
近隣まで及んだケースは数件ありますが、こちらも近隣住民とのトラブルになる前に対応します。
ないんですか?
互いに自分勝手な振る舞いする人達が集まってるんで気になります