乗車証明書
夢の中で、電話をかけていた。何だか分からないがガチャで当たりが出ていた。その夢のガチャ当たりと連動するかのように、携帯のCメール着信音が鳴った。夢のガチャ当たりと現実の携帯メールが連動する筈はないな、と思いつつ、目を覚ましてCメールを確認してみた。するとGさんからである。
「おはようございます、この度も大変ご迷惑おかけいたしております。戻れますかね?お金は泊まり賃とかで使い果たしました。ごめんなさい。」
電話をかけてみると、今北新宿の公園にいるらしい。そこで乗車証明書を貰って電車に乗る方法を説明する。乗車証明書を貰う事が出来れば、理論上タダで電車に乗ることが可能だ。
小生「今から電車に乗って帰るとしたら、一つは乗車証明書というのを駅改札でもらって、それを下車駅で出して清算する方法があるんです。大宮までわたしが行くから、そこでお金の清算をするんです。もう一つは、駅の改札を強引に突破する方法。新宿とか大きい駅ならピンポンピンポンなっても、強引にダッシュして逃げるとか。そういうことやっている人もいるし。あるいは、新宿区役所まで行って、岩槻まで帰る交通費だけもらう方法もあるけど、とりあえず最寄りの駅行って聞いてみて。」
Gさん「分かりました」
しばらくすると電話がかかってきた。
Gさん「今大久保駅にいるんですけど、乗車証明書もらうにも、下りる駅で清算する人がいるのを確認しないと、発行出来ないって言われてるんですが…」
乗車証明書でのこちら拠点岩槻駅下車清算は、つい一カ月程前に別の人でやったばかり。しかし東武とJRは違うのか。仕方なく駅まで向かうことにした。
駅に向かう途中で、銀行口座のカードを持っていたら、口座に送金する方法を思いついた。Gさんに確認すると、持っている口座は、神奈川信用金庫とのこと。それだとネット送金でも着金に時間がかかりそうだ。乗りかけた船なので、もう駅まで迎えに行くことにする。大宮駅について、駅員に事情を話す。
小生「今大久保駅にGさんという人がいて、乗車証明書を発行してもらおうと思ったのですが、大久保の駅員に、『下車駅での迎えの人が確認できないと発行できない』と言われたので、今大宮に来たんですが、大久保駅に電話で話してもらえますか?」
しばらくすると、大久保駅のGさんからメールが来た。
Gさん「今連絡が来て、入れました」
大久保から大宮まで一時間弱ある。暇なので、その間に本稿を書いている。しかし途中でスマホに余計なメールが来て、それを見た所、半分以上消えてしまった(涙
ちなみに小生は、お金がなくなった店子の誰にでもこのように早朝から動くわけではない。店子の内何人かは、「いつでも出て行って下さい」リストに入っている。そういう人の場合は、「帰ってきたいなら歩いて帰って来て」ということになっただろう。
しかしGさんの場合は、そうではなかった。真面目なのだがどことなくおっちょこちょいというか、ドンくさいというか。女房によると小生は「どんくさい人が好き」らしいのだ。そのドンくさい筆頭が女房らしいのだが…。ちなみにお金が無くなったGさんを迎えに行くのは、今回が二回目である。
大宮で一時間弱待っていると、Gさんが改札に来た。駅員さんにお金を払って出迎えて事情を聞く。
小生「今回は何があったの?」
Gさん「実はまだ野田さんには言ってなかったですけど、仕事が決まってたんです。」
小生「それで?」
Gさん「仕事決まって、その前にちょっと都内に遊びに行ってたんですが、仕事初日に朝寝坊してしまって、それでもう行けなくなってしまって…。」
小生「それでずっと都内に居たの?」
Gさん「……そうですね。」
よくよく聞いてみると、その仕事初日にすっぽかしてしまってから、3週間近く不在にしていたらしい。
Gさん「今回の仕事はハローワーク経由でしたから、仕事に来てないってハローワークに連絡が行って、役所の方にも連絡が来て、それで野田さんの方にも連絡が来てるんじゃないかな、と思ってて、それも後ろめたくて帰れませんでした。」
小生「そんなに思いつめなくていいのに…。」
Gさん「仕事じゃなくて、単に遊びに行って帰るだけなら、多分帰ってたと思うんですけど、なんか仕事すっぽかして思いつめちゃって…。」
小生「変な所生真面目に考えすぎてるよね、Gさんは。」
Gさん「はい、よくそう言われます。」
小生「あの~、例えば目の前の部屋にいるKさんなんかは、全然仕事もしないで、支給日にお金もらったら、早ければ当日とか、遅くても一週間以内に全てお金をパチンコで使い果たして、とかやってるような人だよ。それで一カ月位都内の炊き出しに行ってて不在にしてたこともあったし。だから全然後ろめたく感じる必要ないよ。気にしないで。」
金を貰えばすぐパチンコに遣い果たす。だけではなく、同居人の財布からお金を盗む、ウソも平気で吐く、どうみてもまともに働けそうもない。そんなKさんに比べれば、本当にGさんは真面目でまともな人間で、助け甲斐がある存在に思える。朝から一功徳(ひとくどく)積めたというプチ達成感。ああ、こんな店子ばっかりだったらいいのになぁ…。
コメント
う~ん、難しいね…
だからこのGさんも前と同じことするわけだけど、何回か私が迎えに行けば、その行動の馬鹿馬鹿しさと申し訳なさでなくなるんじゃないかな。
少なくとも「自称ダメ人間」Tさんについては、お金が無くなるまでネットカフェというのは、ここ2年以上無いような気がする。
何回かお迎えに行くぐらいなら、お安いご用
今日は今から別のお高いご用へ(鬱
何かしら表層意識では捕らえられない条件や風景設定とかがあるとかね
大事なのはそれを虚構だと理解し乗り越える訓練ですな
徐々にでもいいから克服すると
人生とはエベレスト登山のようなものっすな
乗り越え果して学んで清々しくなってまた次の山と
そういうのは大なり小なり私もあって課題となっている。
意味はないんだけど、ひとたび拘ってしまうとそのことに触れられずずっと取り掛かれない、
それをよけて他の事をやる、徹底してw
なんなんでしょうねこういうの、心理学的にあるとおもうんだけど、詳しい人教えて。