オキシトシン5
というタイトルとはちょっと関係・内容が薄い記事。
最近嬉しい事って言うと、自称ダメ人間のTさんが失踪から帰ってくること。
いやもう記事に書ききれないくらい、というか本人もいつからかこのブログ見てるんだけど、まあ書いてない間に失踪して、また戻って、の繰り返し。記録を付け始めた直近2年間だけで、10回失踪した。それはとりもなおさず10回戻った、ということであるんだけど。彼との付き合いは、ホームレス支援を始めた年の年末から。もう8年の付き合いになるが、最初の記録の無い期間でも20回近い失踪があったと思う。
え~っと前々回の失踪に関しては、オキシトシン全開になった記事を書いた。あれからもう4カ月だが、その間に一日だけのプチ失踪あり。今回失踪は6月頭から。
やはり原因となるのは、仕事のストレス。以前は役所のCWやハローワーク担当職員から言われて就職をして、その仕事のストレスでトンコしてしまうことばかりだった。とにかく人と付き合うというか、会話することすらストレスで苦痛。それで最短1日で失踪してしまったりする。
今回もしばらく建築関係の木工や内装を頼んでいたのだが、それがストレスになったと思われる。とはいえ、そんなにこちらが大量の仕事を振るわけでもなく、一日おきに5~6時間の労働とか。こちらとしてはエンドレステープのごとく「自分はダメ人間で、生きる価値も無くて…」と繰り返す本人の自己評価が少しでも上がるようにと、あと困っている人の手助けとなることで功徳を積んで頂くという意味でやっているわけだが。
仕事の訓練としては、出来るだけ自分で考える所からやらせている。例えば「ここにこういう部屋を作りたいけど、どこに下地の木を固定してボードを貼りつけていくか考えて、部材の数量もこっちに伝えて。私が買ってくるから。」と。部材調達は、さすがに小生がお金を出して車を運転して運ぶしかないので。
しかし今回出した課題はちょっと複雑で、本人にとってはそれが相当のストレスだったと思われる。作業当日の朝、まず電話が通じなくなり、部屋まで迎えに行くともぬけの殻。玄関の鍵は開いたままで、鍵を部屋の真ん中に分かるように置き去りにしている。
ホームレス支援でこれまで100人以上の失踪者を見てきた。その経験から言うと、鍵をかけずに目立つ場所に鍵をおいていなくなるのは、「出て行きます」という意思表示なのだ。勿論、鍵を持って行ったまま失踪するケースも多いので、鍵を置いていくのは、こちらに対する最低限の礼儀というべきか、最後のけじめというべきだろうが。
今回の失踪が今までと違うのは、携帯電話の電源が入っていなかったこと。以前失踪する際は、「もう死にますので探さないで下さい」と言いつつ、必ず彼は携帯電話を持って失踪していた。そしてネットカフェやドコモショップで充電しながら電池が無くならないようにしているのである。彼としては、親父との唯一の連絡手段であるという言い訳があるのだろう。とは言っても彼は親父とも何回もケンカしている。
「親父から『死ぬんだったらどっか行って死んで来い』と言われました」
「もう絶対親父の所には帰りません」
などという言葉を彼から聞いたこともある。しかし彼は事ある毎に、オヤジオヤジというのである。唯一頼る親族と言えば、オヤジしかいない。そういう事情もあるだろう。
今回も、フラッと出て行って、「オヤジに会いに行こうか…」と九州に向かったらしい。しかしオヤジに会うにはやはり躊躇したらしく、博多のネットカフェでしばらく過ごしていたらしい。
ちょっと進歩したと言えるのは、お金が全くなくなる前に帰ってくれるようになったこと。以前は、スッカラカンになるまで動くことも出来ず、無一文になってから連絡が来た。今回は自力で帰ってきた上に、まだ1万円近く残っている。
Tさんの問題も少しずつ良くなってるよなぁ~、と思っていた所、それ以上の難敵が登場。苦慮対応中。
話し戻して、彼の人間不信・自己否定が完全に直るのは、生きている間は難しいかも。前にも触れたが、人間の脳神経が固まるのは、3歳くらいまでの乳幼児期。その時期に、如何に親(特に母親)が、子供に愛情を注げるか否か。これが無意識レベルに自己肯定感と共に、他者への信頼(まずは母親)というものを植え付けるわけだが。物理的には3歳までにどれだけオキシトシン受容体が増えるか、ということであり、その時期を過ぎると脳神経回路が固まってしまい、受容体もなかなか増えない。
学生運動やって、東大自主退学した、警視庁長官狙撃事件の真犯人といわれる中村𣳾受刑者と、野田さんが、対談できたら面白いと思うんだけど、中村受刑者は今年で87だから、難しいだろうな。