脱洗脳2
「私個人としては、人間の生命倫理(ヒューマニズム)より、
真理勝者方の救済計画を取りたいのです。」
こう述べたのは、今だけ旬な話題で今だけマスコミから希求されている現役アレフの一信者です。小生に負けず劣らず厚かましいマスコミの皆さんには、絶対紹介しませんから、問い合わせしないで下さいね。
尤も彼も単に拙ブログの多分気まぐれな読者に過ぎません。たまたま記事内容から、拙著「一神教支配の終焉」に興味を持ち、住所・氏名・連絡先を教えてくれたに過ぎず、信頼関係などとは程遠いものでしょう。
冒頭の記述を、マスコミのオウム報道流に意地悪く解釈するならば、以下のようになりましょうか。
「たとえサリン事件が事実(※)であって、多数の人殺しをしたとしても
それが真理勝者方の救済計画の一環であるならば正当化され許される」
(※注釈 在家信者向けにはサリン事件は教団が犯した事件だとは説明されず、陰謀論で片づけられるケースが多い)
ただ小生としても、意図的に現教団の危険性を訴えたいわけではありません。仮に彼らが頭の中で殺人を肯定しようとも、上の指示がなければそのような行為に及ぶ可能性・確率は、一般人以下であると述べておきましょう。具体的に上の指示と言えば、麻原無き教団においては、二宮君と麻原妻が擁立を目論む麻原次男。彼がトチ狂った考えを抱かない限り何もない、ということになります。
冒頭のような夢物語とも思える救済計画に対して、世間やマスコミは、「無差別大量殺人ということ自体、論理破綻だ」と信者らにも訴えてきました。しかし一方は今生きている人間の一生だけを前提にし、他方は輪廻転生を前提にしている以上、永久に話は噛み合いません。
閉塞感に満ちた現代社会で、「居場所がない」「生き甲斐が無い」等の生きづらさを抱え抑圧された若者にとっては、むしろ夢物語を語れるオウムの方が魅力的に見えてしまう。それも仕方のない事かも知れません。
よって今回小生は、彼らに対する説得の代替案として、(輪廻転生含めた)世代を超えた夢物語の結末を持ち出したいと思います。ただこれは同時に、世間とマスコミの脱洗脳を促す内容にもなっています。
その理想追求の夢物語とは、アメリカ建国。歴史上も明らかな、誰しも知っている(もしくは知ることのできる)内容です。ヨーロッパ市民革命前夜の17世紀、神の理想の国家建設を目指してアメリカに渡ったピューリタン達が主役のお話。
当時のイギリスでは、イギリス国教会が正統派とされていましたから、ピューリタン達は抑圧され迫害を受けていました。その頃のピューリタン達は、今でいう新興宗教カルト教団のようなものだったともいえるでしょう。当時カルト扱いだったピューリタン達が志した「神の理想国家建設」。その建国から2世紀余りを経て、アメリカは世界を一極支配する覇権国の地位を得ました。かつてのカルト教団が目指した神の理想の推進は、グローバリズムという形で世界を席巻するに至っているのです。
しかし今度は拡大し過ぎたグローバリズムが、貧富の格差など様々な問題を引き起こし、多くの民衆を抑圧している状況にあります。そして抑圧された民衆は、また新たな夢物語を希求しています。それが日本では「オウム」含めた新たなカルト的集団であり、欧米や中東ではイスラム原理主義組織「イスラム国」であるのです。
オウムがやったような「真理国憲法」に基づく「太陽寂静国」ではありませんが、二世紀半前に、弾圧されていたカルト教団が「神の理想国家」を建設したわけです。大戦に負けたとはいえ、破綻しかかっているカルトの「神の理想国家物語」にいつまでも隷属し続ける日本は、本当にお目出度い国だなぁ…と。
ただ、地球上の歴史問題で片づけてしまうと、現役信者からは「真理勝者の救済計画は、高々何千年の人間の歴史どころじゃない話、比較できない」などと言われかねないので、一応教義上の話にも言及しておきます。
京の単位の年数が経過すれば、如何なる解脱でもまた輪廻が始まるんです(と経典には書いてあるらしい)。なぜなら「つまんない」「飽きる」からでしょう。その時は、黄金に輝く千の蓮華の台座が現れるのを見て「千の真理勝者(覚者)が登場する、何と素晴らしい、優れた時代の到来だ!」って考えるらしいです。
つまり、真理勝者の救済計画にしろ、神の理想国家建設にしろ、すごろくの「上がり」は「振出しに戻る」なのです。ただ上記のピューリタン達の話は、よく教学していないと、ここで引用している意味合いすら分からないかも知れません。
先に述べた通り、物語の理想追求が破綻するというのは、オウムだけではなく、現実のグローバル社会自体も同じです。数世紀前にピューリタン達が目指した神の理想国家は、今や外側に敵を作り出しながら自己正当化を図る以外に道が無くなってきています。
最後の覇権国アメリカが仕掛ける最終戦争は、対テロ戦争であることは既に述べました。もう一つ全ての人に目に見える形で現れるのは、拙ブログ当初から述べて来たとおり金融システム破綻です。急激な金利上昇、急激な物価高、預金封鎖等の出来事を伴って、平穏な日常生活の夢からマインドコントロールされた市民を目覚めさせることになるでしょう。
オウム事件という理想追求の破綻が、現実感のない信者らが夢見心地で突っ込んで引き起こしたのとは対照的に、金融システム破綻は全員が夢を見続けるならば永遠に起きないという仕組みになっています。逆に、一旦金融システムに対する不信に火が付けば、国債売りは連鎖反応的に広がり、金利上昇・物価高・最後に預金封鎖を現実に引き起こすことになるのです。
機関投資家は、日本国債には手を出さないようになってきました。その一方で、十年以上も前から国債暴落(=金利上昇)を狙っているハゲタカファンド連中がいます。よって小生も皆さんに、「早目に一(いち)抜けした方がいいよ」と申し上げるのです。
ところで小生は、冒頭のように述べた現役信者に対して、以下のように返信しました。小生がなぜ団体を辞めたのか、という問いへの回答として。
「5年から10年、一生懸命修行なされれば分かりますよ。ちんたらちんたらやってたら永久に分からないけど。ヒューマニズムにしろ、真理勝者の救済にしろ、文字で読むのと現実に自分でそれを行うのとでは大違い。」
(つづく)
ヴァジラヤーナで人殺したら、同じく「これは救済だ~」って考える人にヴァジラヤーナ的思考で殺されるんでしょう。
死刑囚の皆さんの証言聞いてると、教義云々を理由に理性的な形でやったというより、ほとんど流れでやってる気がします。一応それっぽく理由を後付けして辻褄を合わせるように、そのヴァジラヤーナの教えを持ち出しているけれど。
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